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【セルビア編1】

0.セルビアってどんな国?

 セルビアは中央ヨーロッパの一部の国です。以前はユーゴスラビアの一部を形成していましたが、2006年に独立しました。人口は約700万人(2011年現在。コソヴォを除く)。面積は約77,000平方キロメートル(コソヴォ除く)で、北海道とほぼ同じである。主要産業はサービス業。通貨はセルビア・ディナール。気候は大陸性気候で、国土のほとんどは温帯に属する。

 バスケットボールの面では、代表は男女とも世界トップレベル。国内リーグは男子は例年1クラブは欧州中位前後、他クラブは財政的にかなり厳しい状況に見受けられる。女子の国内リーグは全般的に経済的なサイクルがうまく回っていないように思われる。

1.セルビアの白狼 〜ベオヴック72〜

 ベオヴック72はベオグラードで活動するクラブである。トップのチームから育成組織のチーム、そして低年齢の子どものためのバスケットボール・スクールがピラミッド型に構成されている。選手は男子のみである。

 トップのチームは他のクラブと違い二つあるのが独特である。トップチームにファーストチームとセカンドチームがあるという。この2チームはセミプロである。さらにクラブ内では「ヤングチーム」と称するチームがある。これは実質的にはU-20の選手を主として構成されている。この「ヤングチーム」は他のクラブで言うところのセカンドチーム(2軍)に相当する。これら3チームは週7日毎日練習を行う。

 育成組織の方は、U-18、U-16、U-14、U-12のチームがある。年代によっては複数のチームがあり、例えばU-14ファーストチーム、U-14セカンドチームのように水準別に編成する。その中の複数のチームに所属している子どももいる。その場合、シーズン通しての場合とシーズン中の一時期だけというパターンがある。育成組織の各チームは週4〜6日練習する。これに加えて試合がある場合もある(通常は1週につき1試合)。1年間の公式戦はだいたい30試合で、これとは別に練習試合を組む。なお、ベオヴック72では一チームの選手を最大16名までとしている。

 6歳〜10歳まではバスケットボール・スクールの形となっている。スクールの方は週3日の練習である。公式戦は無い。大人のものより低いゴールを用い、小さいサイズのボールを使う。また正式なコートのサイズよりも狭いところで練習することもある。これを「ミニバスケットボール」と呼んでいる。

 上記を総合するとこのクラブは表のような構造並びに練習の状況になっている。

 表 ベオヴック72のチームの構造と練習回数

カテゴリー
1週当たり練習
備考
トップチーム(ファースト)
7日(+試合)
トップチーム(セカンド)
7日(+試合)
ヤングチーム
7日(+試合)
他クラブの2軍に相当
U-18チーム
5〜6日(+試合)
U-16チーム
5〜6日(+試合)
U-14チーム
4〜5日(+試合)
U-12チーム
4〜5日(+試合)
スクール(6〜10歳)
3日
公式戦無し

 

 シーズンは7月の下旬か8月にスタートする。公式戦は9月に始まる。シーズンの終わる時期はカテゴリー等によって異なるが、5月までには終わることが多い。従って活動期間はカテゴリーにより7〜10か月の間である。育成組織の指導者にはセミプロとプロがいる。各カテゴリーのファーストチームのコーチはプロでセカンドチームのコーチはセミプロという形が多い。「プロ」と言ってもそんなに高いサラリーを払っているわけではないという。

 育成組織の選手のポジションはどのように決めているのだろうか。ベオヴック72の場合、U-14チームの所属時に決め始める。選手によっては最終的なものではない場合もある。仮にポジションを決めたとしても、そしていずれのポジションにも関わらず、比較的オールラウンドにプレイさせるのがこのクラブの指導方針である。

 ベオヴック72の練習はいずれのチームも学校の体育館を借りて行うことが多い。使用料は平均的には1時間あたり約2,700円ぐらいだそうである。上記のようにたくさんのチームがあるので、これが積み上がると経営的には収支を圧迫する要因の一つとなる。ベオヴック72の悩みの種だという。セルビア全体でも8割のクラブが練習会場として学校を使っているらしい。地方だとクラブの数が少ないため自治体が無償で会場を貸してくれるがベオグラードのようなところでは非常に多くのクラブがあるのでそういうわけにはいかない。特にベオグラードや都市部のクラブではかなり負担になっているという。

 またベオヴック72のトップチーム元ヘッドコーチでジェネラルマネージャー兼ユースカテゴリー運営責任者(当時)によれば、セルビア並びにベオヴック72には下記のような二つの問題点があると認識していると言う。まずトップチームの年齢の選手については、セルビアの2部リーグぐらいの選手がブルガリアやポルトガルなど、バスケットボールがあまり盛んではない国のリーグに単にお金のためだけに移っていく、というのが一つである。これにはセルビア国内リーグ、中でも特にスモールクラブのサラリーが低いということが背景にある。二つ目として、育成組織の年代の子どもが最近は家にいてポータブルのゲームばかりやっているという点である。次代を担う子どもの育成に支障が出得るとのことである。

*セルビアには複数回訪問し、いくつかのクラブを視察・調査したので、これらについては別な機会に記したい。

*またセルビアバスケットボール連盟にて、セルビア国の育成システム、セルビア・ナショナルチーム、セルビア国内トップリーグ等について、複数の担当者に詳細なインタビューを行ったが、これは別な機会に記したい。

[動画]ヨーロッパのバスケットボール[セルビア編1]はこちら↓

セルビア編1 セルビア編2 セルビア編3 セルビア編4

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文責:出町 一郎(でまち・いちろう)
[バスケットボール研究者・バスケットボールコーチ・大学講師]

●東京大学大学院博士課程出身(スポーツ科学,教育学)
● 元プロバスケットボールチームコーチ

*このページに関するお問合せ euro@demachi.net

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